院長コラム
１１．いのちつなぐ活動に感謝北海道新聞掲載 とまにち火曜コラム
昨年(2014年)、わが町の保健所管内で、交通事故で動けなくなったミックス犬が放置されていた。通報を受けた保健所や胆振総合振興局の担当職員の方々に保護され、当医院に搬入されてきた。犬は仙腸関節が脱臼、骨盤と尾椎も骨折しており、自力での排尿は困難で、両後肢麻痺という状態だった。
保護場所は農家が散在した地域で放し飼いが多く、飼い主が名乗り出ることはあまり期待できないと思われたが、治療を開始することにした。排尿障害があるためカテーテルを留置し、当院のスタッフが毎日治療処置しているうちに、すっかり慣れ親しみ「バンちゃん」と名付けてしまった。
名前の由来は骨盤骨折をしていたためのようである。数日後、仙腸関節脱臼と骨盤骨折を修復し、断尾手術を実施した。徐々に回復していったが、排尿障害と両後肢麻痺の症状に変化は見られなかった。
予測していた通り、飼い主は現れず、バンちゃんは約1ヵ月入院した後、保健所に引き取られていった。保健所、胆振総合振興局の担当職員の方々の尽力により、大阪在住の新しい飼い主が名乗り出てくれ、バンちゃんは大阪で新たな生活を送ることになった。
新しい飼い主さんとの暮らしが快適であったのか、しばらくして、バンちゃんが少し歩行できるようになったとの情報が届いた。
当医院のスタッフも大変喜び、大阪暮らしのバンちゃんの写真を懐かしそうに眺めていた。今回のような事例はあまり多くはないかもしれないが、関係者の皆さんによる「いのちをつなぐ活動」に感謝している今日この頃である。
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