院長コラム
１４．キシリトールペットに毒北海道新聞掲載 とまにち火曜コラム
来客も多く、ごちそうが食卓をにぎわすお盆やクリスマス、お正月等の時期は、イヌなどのペットの多様な誤食症例が多く発生する時期でもある。とりわけ、フライドチキン、チョコレートなどを食べたことが原因で胃腸炎を起こしたり、すい炎に至ったりするケースも珍しくない。
一般的に、イヌがチョコレートやぶどう（干しぶどう含む）、ニンニクなどを食べてはいけないことは、多くの飼い主が知っていることと思うが、イヌがキシリトールを含む食品を食べて中毒に陥ることや、ネコが和食の食材であるユリ根を食するとユリ中毒の原因になることを知っている飼い主さんは少数だ。米紙ウォールストリートジャーナルによると、キシリトールを含む食品の誤食によるイヌの中毒や死亡例が米国で増加傾向にあるという。
ガムや歯磨きペーストなど多くの食品に含まれているキシリトールは、人間には害の無い人工甘味料であるが、イヌにとってはミルクチョコレートを誤食した時の100倍もの毒性があると報告され、イヌが摂取するとインスリン放出作用が強く低血糖状態に陥り、意識低下、脱力、昏睡や肝障害を起こすことが知られている。
また、空腹時のイヌの体重1kgに対し0.1g～2.7gのキシリトール摂取で中毒や肝障害が発症する可能性があると報告されており、体重によっては数粒のキシリトールガムの誤食で中毒症状が発生する可能性が考えられる。
キシリトールを含む食品をイヌの手が届かない場所に保管しておくよう日頃から注意することが肝要だ。万一、キシリトールを含む食品を誤食した場合、まずは食事を与えて低血糖を防ぎ、速やかにかかりつけの獣医師に相談することをお勧めする。
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